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「アクセス解析をしているが効果がない」という企業からアクセス解析の依頼を受けると、解析のやり方、もっというと考え方に関して大きな違いに気づくことがあります。
今回はアクセス解析の立ち位置や考え方と施策検討のルールについて記載します。
アクセス解析の立ち位置
Webマーケッタの考えるアクセス解析はサイト改善をするための素材集めです。
Web担当者さんもアクセス解析を行う理由はサイト改善をしたいからでしかないはずです。
しかし、多くの場合はデータを確認するだけで、その後の施策、そしてその結果の検証まで至っていないのが実情です。
現状を知るだけで終わるなら、アクセス解析なんてせずにブログの一つでも書いてた方がWebサイトの改善につながります。
もしWeb担当者であるあなたが現状レポートだけ作って上司に提出しているようであれば、Webサイト改善という観点からすると無意味なので、そのタスクを削除することをおすすめします。
今一度、アクセス解析の本質は
Webサイトの詳細な現状把握ではなく、改善の素材探しだということを再認識した上で読み進めてください。
Webサイト改善の施策検討ルール
ルールというと堅苦しくなりますが、「考え方」に近いかもしれません。
アクセス解析を何度かやったことがある方は共感いただけるかと思いますが、見れば見るほど気になる数字が浮かびあがります。
あれもこれもと気になる数字が表示されていて、とりあえず直帰率から改善しよう!みたいな改善施策は理想的ではありません。
重要なルールはたった2つ
・改善施策は1つに絞る
・優先順位の基準はインパクトに絞る
以下に補足します。
改善施策は1つに絞る
Webサイトの改善施策で絶対にやってはいけない方法は、複数の施策を同時進行で実施することです。
「良くない」→「変更する」
で止まっている状態。
変更するだけであれば、アクセス解析は必要ありません。
「良くない」→「変更する」→「効果を検証する」
効果の検証を含めて、Webサイトの改善は完結します。
Webサイト改善施策の手順について
まずは簡単に手順について。
Webサイトの改善はPDCAを回す形になるのですが、実質的には3ステップ
「施策検討(計画)」 → 「施策実施(変更)」 → 「結果検証(評価)」
余談ですが、PDCAはPLAN、DO、CHECK、ACTの4工程ですが、Web運用ではちょっとACT(改善)の立ち位置がよくわからない(そもそも改善有りきだから)ので、この3ステップでご説明する方がご理解いただきやすいです。
Webサイト改善手順を準拠しないとどうなるか?
多くを同時に変更させると検証の際に、結局何がどう作用したのかわからなくなります。
結果、上記ステップの「結果検証(評価)」が曖昧になります。
上手くいっている時はそれで問題ないですが、検証が曖昧な状態が続くと、行き詰った時に参考になる施策がないので、テスト施策からのやり直しとなります。
改善施策と結果は効果の有り無しに関わらず、Webサイトの資産としなければなりません。
結果検証(評価)のタスクをしっかり実行することで、初めて意味のある改善施策だと言えます。
カテゴリによっては複数同時進行は可能ですが、基本1つに絞ることをおすすめします。
優先順位の基準はインパクトに絞る
多くの問題を抱えるWebサイトの場合、施策を1つに絞るといっても何から手をつけるべきか基準が必要です。
その基準こそ「コンバージョンに与えるインパクト順」です。
多くの場合が「アクセス増加」「トップページ直帰率」「メインビジュアル」等、わかりやすく目につきやすい箇所から着手してしまいがちですが、一度落ち着いて、改善することで得られるメリットのインパクトを計算してみてください。
インパクトを計算(仮説立て)するための事前準備
インパクトを計算(仮説立て)するには、まずはここまでくらいは改善できるのではないか?というある程度の経験が必要となります。
しかし、いきなりその経験値を積むことはできません。
そこで、下記の3点についてばっくりと基準を設けてみましたので、ご参考程度に確認してください。
アクセス数
直帰率
コンバージョン率
アクセス数
GoogleAnalyticsでいうところのセッションを基準にします。
アクセス数は多ければ多いほどいいですし、質は高ければ高いほど望ましいです。
しかし、理想を並べても仕方ないので、現実的な基準は以下です。
アクセス数 = 目標コンバージョン数 ÷ 現状のコンバージョン率
ex)
目標のコンバージョン数 10
現状のコンバージョン率 0.5%
上記であれば、
アクセス数=10÷0.005
アクセス数=2000
軸はあくまでも目標コンバージョン数です。
コンバージョン数を達成するためにアクセスだけを集める場合、サイトの中身はいじらないので、コンバージョン率は変わらないはずです。
ゆえに上記のような数値となります。
しかし、ここで抜け落ちているのは「アクセスの質」です。
アクセス数を増やす方法にもよりますが、顕在ニーズユーザはすでにある程度拾えていて、潜在ニーズユーザを含めて広告で流入を促すようであれば、「コンバージョンに至る」という点では「アクセスの質は落ちる」ので、もう少し多くアクセスが必要になるかもしれません。
直帰率
ここでいう直帰率はサマリーでの直帰率ではありません。
各ページの直帰率です。
主要なランディングページが複数あるようであれば、複数ページを確認し、検討する必要があります。
1つのボーダーとしては40%
40%以上であれば改善できるポイントがあるのでは?と考えてください。
※ブログ場合やペライチのランディングページであれば80%以上なんてざらにありますので、その辺は臨機応変に検討が必要
コンバージョン率
問い合わせや資料請求、予約や購入といったコンバージョンに至る確率です。
計算式としては
コンバージョン数 ÷ セッション数 = コンバージョン率
これも無料商材、問い合わせ、資料請求、購入とハードルの高さによってバラバラですが、0.8%を切るようであれば、黄色信号と考えて問題ないかと思います。
ではこれらを組み合わせてみます。
インパクトを軸に優先順位を考える
まず検討すべきは具体的な施策ではなく、どこのエリアを改善するべきか?
もっというと、どこのエリアを改善すると一番効果的(インパクトがあるか)を検討します。
仮想サイトをもってして、検討してみます。
■エステサロン
・セッション1000
・ユーザー500
・新規訪問率50%
・直帰率65%
・コンバージョン率0.2%
何から手を付けるべきでしょうか?
気になるのはセッション数と直帰率とコンバージョン率ってところでしょうか。
では「セッション数」「直帰率」「コンバージョン率」
の3点に目を付けて、比較していきます。
影響力の差を考えた場合、結構簡単に優先順位は付きます。
まず条件を合わせるために直帰率は1/2に。
コンバージョン率は2倍になった場合を比較します。
【直帰率を改善する場合】
直帰率を65% → 35%にした場合のコンバージョン数
1000アクセス → 有効訪問30% →300
1000アクセス → 有効訪問65% →650
350も有効訪問が増えます。しかしコンバージョン率は0.2%なので、350増えてもコンバージョンは1増えない計算です。
【コンバージョン率を改善する場合】
コンバージョン率0.2% → 0.4%にした場合のコンバージョン数
1000アクセス → コンバージョン率0.2% → 2件
1000アクセス → コンバージョン率0.4% → 4件
0.2%改善できれば2件増える計算です。
こうなるとコンバージョン率を改善する方に力を注いだ方が成果に対するインパクトは大きいと考えられます。
こんな単純にはいかないこともありますが、基準を明確にすることで、「何を先に…」なんてことで頭を悩ますことはなくなります。
お客様の中にはとにかくアクセスを増やしたい!という方も多くいらっしゃいます。
例えば上記サイトの場合、
1クリック100円だったとして、広告を出して1000アクセスを獲得するのに10万円かかります。
1000アクセス → コンバージョン率0.2% → 2件
2000アクセス → コンバージョン率0.2% → 4件
1コンバージョンに営業経費を5万かけられるのか?という問題が生じます。
10万かけたらもっと来ると思ってた…なんて人は多いのではないでしょうか?
見ての通り、単純計算では上記の通りです。
しかもこれまでの流入が自然検索だった場合は、広告の種類によってはコンバージョン率が落ちる傾向があるので、4件獲得のためにももっとコストが必要かもしれません。
成果から逆算することで与えるインパクトを計算することが可能です。
もちろんこの例の場合@単価50,000円は必要コストと考えることができるのであれば、流入を増やす方が簡単なので、実施するのも悪くはありません。
まとめ
Webサイトの施策は1つに絞る。そしてその順番はインパクトを基準とする。
この2つについて記載しました。
いかがでしたでしょうか?
これから施策を検討しよう。
もしくは今までの行き当たりばったりに施策して何かもやもやしているWeb担当者の参考になれば幸いです。