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ネットショップのレコメンド(おすすめ)機能については過去にも記載しています。
レコメンドってなんだっけ?って方は先に以下記事をご確認ください。
レコメンドを簡単に説明すると以下のような機能です。
「この商品に興味のある人はこんな商品も興味があるよー」
「こんな商品もあるんですが、いかがですかー?」
っていう閲覧者におすすめする機能です。
今回は12のネットショップでレコメンドの掲載テストを行った結果を記載します。
レコメンド機能を重視する商品群について
ここでは、とっても当たり前のことを言いますが、レコメンドの掲載商品について気をつけなければならない商品は「売れ筋商品」のみです。
そもそもネットショップ内でアクセスがないことにはレコメンドの掲載を閲覧されないわけなので、まず気をつけるのは商品点数にもよりますが、上位5%の商品で十分です。
商品別のアクセス数の確認に関しては、GoogleAnalyticsでいうと「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」の「表示回数」で判断して問題ないかと思います。
またここで上記で「アクセスの多い商品」ではなく「売れ筋商品」と表記したには理由があります。
ネットショップでは広告を運用しているケースも少なくなく、広告の偏りによっては表示回数は多いけど、読了率が低いというケースも大いに考えられます。
しかし、売れ筋商品に関しては多くの場合は下部までしっかりスクロールしてくれているケースが多く、それに伴いおすすめ商品にまで辿り着くことが多いと考えられます。
読了率の計測方法については今回言及しませんが、検索すればわんさか出てきますので、読了率を計測したい方は設定することをおすすめします。
とはいえ、結構ややこしいと感じる方も多いので、「アクセス数」ではなく「購入数」で判断しても大きく外れることは少ないので、問題ないかと思います。
レコメンド掲載商品テストの概要
今回は12のネットショップでレコメンドの掲載比率のテストを8ヶ月かけて実施しました。
対象のネットショップのジャンルはバラバラで対象とするペルソナもバラバラです。
計測テストの前提
■掲載商品のジャンル分け
今回レコメンドに掲載する商品を以下の4つにジャンル分けしています。
「類似商品」「類似商品02」「関連商品」「全く関係ないがネットショップが売りたい商品」
「類似商品」・・言葉のまんまで似たような商品です。ここでの似た商品は少し気を使って、同ジャンルというざっくりした商品分けではなく、閲覧者のニーズを満たすという意味で気を使って商品を選定しています。
例えば、同じジャケットでも形が近く、カラーバリエーションも似ているであったり、同じ猫のボールのおもちゃでも、サイズは近いか、素材は近いかといったように、この商品の特徴がユーザのニーズにマッチしていた場合、この商品にも興味があるはずという基準で選定しています。
「類似商品02」・・類似商品との線引きが難しい場合もありましたが、少しニーズズレしていた場合を想定しています。ジャケットの場合、オフィス用か普段使い用か、猫のボールの場合は麻で作られたボールの場合、電動で動くボールやスポンジで噛みやすいとかサイズ違いなどが挙げられます。
「関連商品」・・関連商品はこの商品と同時に買っていただけそうな商品に設定しました。
ジャケットならパンツやシャツを。猫のおもちゃのボールなら猫じゃらしやLEDライトのおもちゃなどが挙げられます。
「全く関係ないがネットショップが売りたい商品」・・これは言葉のまんまです。売りたい契機としては「利益率が高い」「新商品」「在庫を売り切りたい」等々が挙げられます。
■レコメンド掲載商品の比率
ネットショップによってレコメンドの枠が4〜無限とバラバラだったので、今回は割合で統一して計測しています。
結果:アクセス数と売れ行きは異なる
見出しで結論から論じていますが、結果はアクセス数が増えるジャンルとコンバージョン数が増えるジャンルがはっきりと異なっていました。
アクセス数が増えるジャンル:「類似商品」「類似商品02」「関連商品」
コンバージョン数が増えるジャンル:「類似商品02」「関連商品」(条件付き)
ネットショップによって差がありましたが、テストした
12のネットショップのうち、11のネットショップで同様の結果が得られました。
パーセンテージで変化を見る
同様の変化が発生した11のネットショップを対象として、パーセンテージの中央値で掲載します。
アクセス数の増加 | コンバージョン数の増加 | |
類似商品 | 約8% | 0%(誤差範囲) |
類似商品02 | 約8% | 約10% |
関連商品 | 約5% | 約5% |
全く関係ないが ネットショップが売りたい商品 | 約3% | 0%(誤差範囲) |
アクセス数は割と変化がありましたが、コンバージョン数は明確に変化があったのは「類似商品02」「関連商品」のみでした。
結果から考察する
上記の結果から購入意欲の高いユーザがレコメンドを利用して購入する傾向とは
・閲覧した商品とは少しニーズがずれている可能性が高い
・セット、複数で購入することが多い
であることが判明しました。
類似商品からのコンバージョン数が増加しなかったことについて考察
上記にある「閲覧した商品とは少しニーズがずれている可能性が高い」ということは原因として挙げられるとは思いますが、今回レコメンドテストの対象商品がショップの売れ筋上位5%の「売れ筋商品」です。
その商品のレコメンドエリアに掲載する類似商品はどうしても「劣化版商品」となってしまいます。
それに引き換え「類似商品02」には主力級の商品を掲載することができるショップも多かったので、類似商品02のコンバージョン数は明確に上がったネットショップが大半でした。
「類似商品」に関してはアクセス数はある程度流入したとしても、「劣化版商品」のコンバージョン数を増やすまでのパワーは無かったと考えられます。
関連商品からのコンバージョン数の増加について考察
前提として関連商品で購入したユーザの80%弱はリピートユーザでした。
これはAmazonや楽天といったポータルサイト的なビックショップではなく、個別店だったことが大きく影響していると考えれます。
これはまだこのショップで購入したことのないユーザはショップを信用しきっていないので、「ついで買い」には中々至らないのではないか?という点です。
今回、11のネットショップの中には中々リピートしにくい商品を扱うネットショップもあったので、関連商品からの流入アクセスのコンバージョン率には大きな差がでました。
また、これはテスト前から予想していたのですが、約40%は単体商品では送料無料(もしくは送料割引)に届かない商品でした。
これらの結果からレコメンドを設定する上では、「リピートする商品なのか?」「送料に影響する商品なのか?」は検討した上で設定する必要があると考えられます。
番外:「全く関係ないがネットショップが売りたい商品」
今回のテストで唯一全く違う結果を出したネットショップは「全く関係ないがネットショップが売りたい商品」だけアクセス数もコンバージョン数も伸ばしたショップです。
多くのネットショップが在庫処分や利益率を優先してセレクトしましたが、このショップは新商品を掲載しました。
具体的な明言は避けますが、この新商品が今後主力になるのでは?という激強商品だったことから、この結果に至ったと考えれます。
この記事をご覧のショップの管理者さんの中で、激強新商品!というイチオシ商品があるのであれば、レコメンドに掲載することで、大きな結果を得ることはできるかもしれません。
結果を得やすい掲載方法とそうでない掲載方法にも差がある
今回、さまざまなショップでレコメンドテストを行いましたが、傾向は似た結果になりましたが、大きな利益を得たショップと小さな変化に甘んじたショップに分かれました。
さまざまな要因があることは明らかですが、一つの傾向としてレコメンドの掲載方法にも傾向が見られました。
大きな利益を得たトップ4の掲載方法が以下です。
それは逆に中位から下位の掲載方法が以下です。
だいぶ簡単にしましたが、掲載項目の「概要商品説明」の有無が大きく影響している可能性が高いです。
Amazonのレコメンドさえ、タイトルのみの掲載なので、タイトルに多くの情報を載せているケースが目立ちますが、個別のネットショップで商品タイトルを長々と掲載しているショップはほぼないのではないでしょうか?そもそも美しくないですし。
しかし、レコメンドに関してはタイトルだけではわからない可能性が高いといえます。
これはもしかすると「商品一覧」にも当てはまるのかもしれません。
ここはシステムが絡むところなので、カスタマイズが難しいケースも多いとは思いますが、もし商品概要テキストを入れ込むことができるのであれば、ネットショップではあった方が良いのかもしれません。
テストから導き出すレコメンド掲載商品の正解
今回のテストを通じてレコメンド掲載商品の現時点での正解を4つにまとめます。
1、リピーターの多いショップは関連商品掲載はマスト。送料のテーブルも加味する。
2、類似商品02の掲載はどのショップでも掲載はマスト。
3、激強商品があるのであれば、関係性等は無視して掲載しても効果を上げやすい。
4、類似商品(劣化側)の商品に類似商品(売れ筋)の商品をレコメンド掲載すると効果を上げる可能性が高い(仮説)
4は仮説です。現在進行形で4を試していますが、ショップによっては劣化版商品の在庫が捌けないのは困るという意見もあったりして、実施ショップは少なくなっています。
まとめ
テストとして詰めが甘かった部分(劣化版を掲載することになった等)もありますが、一定の偏りがあったという点では参考になるのではないでしょうか?
もしネットショップ売上の底上げに苦労しているようであれば、参考にしていただけましたら幸いです。