
とあるサイトのアクセス解析を見ていたところ、
「GA4のDirect(直接流入)が、なぜかセッション全体の8割近くを占めている」
こんな状態になっていることに気づきました。
Search Consoleの数字とGA4の数字が大きく食い違っていて、サイトの担当者もGA4のデータを信用しきれなくなっていたのがきっかけです。
結論から言うと、Directの大半は人間の訪問ではありませんでした。
過去に登録したまま忘れられていた、あるツールの自動巡回だったのです。
この記事では、GA4とサーバーのアクセスログを使って、その正体を突き止めるまでの手順を実際のデータとあわせて紹介します。
「Directが多すぎる」「GA4の数字がおかしい気がする」という方は、同じ方法で確認できます。
きっかけは、GA4とSearch Consoleの数字が合わなかったこと
2026年9月のGA4のデータを見ると、サイト全体のセッション数は2,802でした。
そのうちDirectが2,180セッションで、全体の77.8%を占めていました。
| チャネル | セッション | エンゲージメント率 | 平均エンゲージメント時間 |
|---|---|---|---|
| Direct | 2,180 | 38.6% | 9秒 |
| Organic Search | 594 | 50.3% | 44秒 |
| AI Assistant | 12 | 58.3% | 111秒 |
| Referral | 12 | 75.0% | 13秒 |
BtoB企業のサイトで、検索の4倍近い人がURLを直接入力したりブックマークから来たりするとは考えにくい数字です。
しかも平均エンゲージメント時間は9秒しかありません。
なお、Organic SearchのセッションがSearch Consoleのクリック数より多いこと自体は、よくあることです。
Search ConsoleはGoogle検索だけの数字で、GA4のOrganic SearchにはYahoo!やBingからの流入も含まれます。
数える単位も「クリック」と「セッション」で異なります。
問題はOrganic Searchではなく、Directのほうでした。

GA4で見えた、Directの不自然な特徴
GA4の「トラフィック獲得」レポートで、セッションのメインのチャネルグループを「Direct」に絞り込み、国・市区町村・ランディングページ・時間帯を順に確認しました。
92%が日本から、地域はバラバラなのに行動はそっくり
Directの92%は日本からのアクセスでした。
海外のスパムボットではありません。
市区町村を見ると、杉並区、札幌、所沢、千代田区、大阪と全国に散らばっています。
ところが、どの地域も平均エンゲージメント時間は8〜9秒、1セッションあたりのイベント数はほぼ4.0でそろっていました。
人間の訪問なら、ここまで均一にはなりません。
同じページが、毎日決まった回数だけ見られている
決定的だったのがランディングページです。
約15のページが、どれも月90回前後、つまり1日3回ずつアクセスされていました。
| ランディングページ | 9月のセッション(Direct) |
|---|---|
| トップページ | 440 |
| お問い合わせ | 182 |
| 会社概要 | 100 |
| 各サービスページ(4ページ) | 各91〜94 |
| 特定のブログ記事(約10ページ) | 各90〜93 |
この中には、検索からはほとんどアクセスのない古いブログ記事も含まれていました。
一方で、検索で一番読まれている記事は、Directからはわずか14セッションでした。
アクセスが深夜から午前に集中している
時間帯別に見ると、Directの89%(1,942セッション)が午前1時から11時に集中していました。
特に多いのは午前7時と午前4〜5時台です。
人が一番動く昼から夕方は、1時間あたり20〜30セッションほどしかありませんでした。
「決まったページのリストを、1日3回、早朝を中心に自動で巡回している何か」がいることは、この時点でほぼ確実になりました。
サーバーのアクセスログで正体を特定する
GA4では「何が来ているか」まではわかりません。
そこで、レンタルサーバーの管理画面から9月下旬の3日分のアクセスログをダウンロードし、先ほどのページへのアクセスを抜き出しました。
ログで確認したポイント
- アクセス元のIPアドレス
- ユーザーエージェント(アクセスしてきたブラウザやプログラムの名前)
- アクセスした時刻とページ
調べてみると、約80のIPアドレスから分散してアクセスが来ていました。
いずれも国内のクラウドサーバーのIPアドレスです。
GA4で地域がバラバラに見えたのは、このIPアドレスに割り当てられた地域情報が表示されていたためでした。
ページ本体は、iPhone・iPad・パソコンの通常のブラウザを装って取得されていました。
ところが、その直後に同じIPアドレスから画像やCSSを取得するときには、ユーザーエージェントにツールの名前がはっきり入っていたのです。
正体は、過去に登録したまま忘れていたヒートマップツール
ユーザーエージェントに入っていたのは、あるヒートマップツールの名前でした。
サイトの担当者に確認したところ、過去にこのツールを試して、そのまま登録しっぱなしだったということでした。
ヒートマップツールの中には、ページの見た目をキャプチャするために、登録されたページをパソコン・タブレット・スマホの3種類で定期的に読み込むものがあります。
各ページが1日3回ずつ見られていたのは、この3種類の端末分の巡回だったわけです。
しかもこの巡回は、本物のブラウザと同じようにJavaScriptを実行します。
そのため、GA4の計測タグも動いてしまい、リファラーのない訪問としてDirectに計上されていました。
サイトからツールのタグはすでに外していたのに、ツール側の登録が残っていたため、巡回だけが続いていたのです。
GA4には既知のボットを自動で除外する機能がありますが、通常のブラウザを装ってJavaScriptを実行するこうした巡回は、除外の対象になりません。
1ページ1日3回でも、積み上がるとDirectのほぼすべてになる
1ページあたり1日3回と聞くと、たいした量ではないように感じるかもしれません。
ところが、登録されていたページは約20ありました。
| 項目 | 回数 |
|---|---|
| 登録されていたページ | 約20ページ |
| 1ページあたりの巡回 | 1日3回(パソコン・タブレット・スマホ) |
| サイト全体の巡回(アクセスログの実測) | 1日約65回 |
| 1か月に換算 | 約2,000回 |
アクセスログで実際に数えると、巡回によるページの読み込みは3日間で198回、1日あたり約65回でした。
1か月に換算すると約2,000回になり、GA4のDirect 2,180セッションの約9割にあたります。
つまり、Directの数字はほとんどがこの巡回によるもので、人間による本当の直接流入は、月に200セッション前後しかなかったことになります。
普段使っているClarityでは起きない現象だった
弊社が普段のアクセス解析で使うヒートマップツールは、Microsoft Clarityが中心です。
Clarityは、実際に訪れた人のブラウザの中で操作や画面を記録する仕組みで、ツール側のサーバーがサイトを巡回しに来ることはありません。
そのため、Clarityを入れてもGA4のDirectが増えることはありません。
一方、今回のツールは、登録したページの見た目をツール側が定期的に読み込んでキャプチャする仕組みでした。
| 記録型(Clarityなど) | キャプチャ型(今回のツール) | |
|---|---|---|
| ヒートマップの作り方 | 訪問者のブラウザで記録した画面を使う | ツール側がページを読み込んで画面を取得する |
| サイトへの巡回 | なし | 登録したページを定期的に読み込む |
| GA4への影響 | なし | 巡回がDirectとして計上されることがある |
同じ「ヒートマップツール」でも、仕様がまったく違います。
普段Clarityを使っていると、「ヒートマップツールが原因でDirectが増える」という発想そのものが出てきません。
これが、原因に気づくのが遅れた理由の一つでした。
記録型とキャプチャ型のメリット・デメリット
ではキャプチャ型が一概に悪いのか?と問われるとそうとも言えません。
どちらが優れているというより、得意なことが違います。
製品によって細かい仕様は異なりますが、一般的な傾向は次のとおりです。
| 記録型(Clarityなど) | キャプチャ型(今回のツール) | |
|---|---|---|
| メリット | ・サイトへの巡回がなく、GA4などの数字を汚さない ・訪問者が実際に見た画面で記録するので、ログイン後のページやカートなども計測できる ・セッション録画と相性がいい ・無料で使えるものが多い | ・背景がきれいなスクリーンショットになり、ヒートマップが見やすい ・パソコン・タブレット・スマホの画面がそろい、端末ごとの比較やレポートに使いやすい ・訪問者の環境に左右されず、背景が安定している |
| デメリット | ・画像の遅延読み込みやポップアップ、ページ改修などで、背景が崩れることがある ・訪問者のブラウザで記録用のスクリプトが動くため、表示速度にわずかに影響する ・入力フォームなどの個人情報のマスキングに気をつける必要がある | ・巡回がGA4に計上され、Directなどの数字が膨らむことがある ・ログインが必要なページやカートの中は、背景を取得できない ・ABテストや出し分けなど、訪問者が実際に見た画面と食い違うことがある ・解約後も登録が残っていると、巡回が続く |
普段のサイト改善でアクセス解析と一緒に使うなら、数字を汚さない記録型で十分です。
そのうえで、次のような特定の目的があるときにはキャプチャ型を採用し、巡回はコードでGA4の計測から外しておく、という使い分けがおすすめです。
- 報告書や提案書にヒートマップ画像を載せたいとき:
背景がきれいなスクリーンショットなので、資料にそのまま貼れます。パソコン・タブレット・スマホの画像がそろうため、端末ごとの比較も見せやすくなります。 - リニューアル前後を同じ条件で比べたいとき(重要):
記録型はページを改修すると新旧の画面が混ざり、背景が崩れやすくなります。キャプチャ型なら、改修前と改修後をそれぞれきれいな背景で並べて比較できます。 - 動きの多いページで、記録型の背景が崩れるとき:
スライダーやアニメーション、画像の遅延読み込みが多いランディングページでは、記録型の背景がうまく再現されないことがあります。
巡回をGA4の計測から外すコードは、下記の「巡回をユーザーエージェントで計測から外す」で紹介しています。
ただし、コードを入れる前の期間のデータには巡回の分が残ります。
導入前のデータを見るときや、導入前後を比べるときだけは、巡回をフィルタリングして確認してください。
ちなみに、ログからは会社概要やお問い合わせのURL候補(/about/、/corporate/、/profile/など)を総当たりで探しに来る、営業リスト作成用と思われる巡回も見つかりました。
ただし、こちらは件数としてはごくわずかでした。

対処法:登録を削除するか、GA4側で除外する
原因が過去に登録したツールなら、登録を削除する
今回は現在使っていないツールだったので、ツールの管理画面からドメインの登録を削除してもらいました。
これが一番確実な方法です。
ヒートマップツールのほかにも、サイトの死活監視、表示速度の定期計測、順位チェックツールなどが、同じように定期巡回していることがあります。
過去に試したツールの登録が残っていないか、一度見直してみてください。
巡回をユーザーエージェントで計測から外す
登録したことを忘れてしまっていたり、心当たりがないよくわからない巡回の場合や、キャプチャ型のツールを使い続ける場合は、GA4のタグを読み込む部分に、特定のユーザーエージェントのときは計測しない条件を入れる方法があります。
<script>
var ua = navigator.userAgent;
// 除外したいボットのユーザーエージェントに含まれる文字列
if (ua.indexOf('ここにボット固有の文字列') === -1) {
// ここに既存のGA4(gtag.js)のコードを入れる
}
</script>
ログで確認したユーザーエージェントに、ツール固有の文字列が含まれている場合に使える方法です。
導入後は、数日でDirectが減っているかを必ず確認してください。
IPアドレスでの遮断は、クラウドサーバーの広い範囲を巻き込むことになるため、おすすめしません。
GooglebotやChatGPTなどのAIクローラーまで遮断してしまうと、検索やAI検索での評価に悪影響が出るおそれがあります。
過去のデータは、分析のときに除外して見る
GA4では、すでに計測されたデータを後から削除することはできません。
過去と比較するときは、Directを除いたチャネル別の数字で見るか、探索レポートで巡回の条件に当てはまるセッションを除外したセグメントを使います。
自分のサイトでも確認したい4つのポイント
今回のような巡回は、気づかないまま長く続いていることがあります。
次の4点を確認すれば、同じ問題がないかすぐにわかります。
- Directの割合と平均エンゲージメント時間:Directが全体の半分を超え、平均エンゲージメント時間が10秒前後なら要注意
- ランディングページの回数:複数のページが、毎月ほぼ同じ回数ずつ見られていないか
- 時間帯:人がほとんど見ない深夜や早朝にアクセスが集中していないか
- 過去に使ったツール:ヒートマップ、監視、順位チェックなどの登録が残っていないか
GA4の数字が実態とずれていると、どのページを改善すべきかの判断を誤ってしまいます。
今回のサイトの担当者も、Directの数字に振り回されて、一時はGA4のデータ自体を疑っていました。

まとめ
GA4のDirectが異常に多かった原因は、過去に登録したまま忘れていたヒートマップツールの自動巡回でした。
GA4で国・地域・ランディングページ・時間帯の偏りを確認し、アクセスログでユーザーエージェントを調べることで、正体を特定できました。
Directの数字が増えていても、検索やAI検索からの実際の流入には影響していませんでした。
チャネル別に見ていれば実害は小さいものの、サイト全体の数字やキーイベント率がゆがむため、早めに確認しておくことをおすすめします。
「GA4の数字が正しいのか自信がない」「どこから調べればいいかわからない」という方は、SIBLABのアクセス解析サービスをご覧ください。
GA4の設定の確認から、数字のずれの原因調査、改善の提案まで対応しています。

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