
ネットショップでは、いわゆる「カート落ち」「かご落ち」と言われるカートに商品を入れたのに、購入してもらえない現象がまま起こります。
もともとのニーズの強度は仕方ないにせよ、ネットショップ運営者側で現実的にカート落ちを改善できるポイントの一つが支払い方法です。
この記事は、2021年4月に公開した記事を、2026年の状況に合わせて書き直したものです。
決済方法の種類と特徴、手数料の目安、導入するときの注意点、自社に合う選び方を整理します。
ネットショップの決済方法は、売上に影響するのか
決済方法は確実に影響します。
商品や価格に納得していても、使いたい支払い方法がなければ、購入まで進まないことケースは往々に見受けられます。
一方で、決済方法は増やせば増やすほどよい、というわけでもありません。
決済手段ごとに手数料や入金サイクル、運用の手間が違うため、お客様のニーズと運営側の負担を見比べて選ぶ必要があります。
ネットショップでは、どの決済方法が使われているか
まず、利用の実態から見てみます。
ステップ・アラウンドが2025年10月に実施した調査(全国の20〜69歳933人、インターネット調査)では、ネットショッピングでの決済手段の利用割合は、次の通りでした。
- クレジットカード・デビットカード:69%
- ID決済(PayPayなど):11%
- コンビニ支払い:8%
クレジットカード・デビットカードが約7割で、依然として中心です。
ただし、ネットショッピングへの支出額別に見ると差があり、3万〜10万円未満の層ではクレジットカードの利用が89.2%に達する一方、3,000円未満の層では61.8%まで下がります。
少額の買い物が中心のショップでは、カード以外の選択肢の重要度が上がると考えられます。
なお、経済産業省が2026年4月に発表した、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%(新しい国内指標)でした。
内訳は、クレジットカードが82.7%、コード決済が10.2%、電子マネーが3.7%、デビットカードが3.4%です。
これはネットショップに限らない、実店舗を含むキャッシュレス全体の数字で、上の調査とは対象が違います。
どちらも、クレジットカードが中心で、コード決済が次に続く、という傾向は共通しています。
もう1つ、SBペイメントサービスが2025年5〜6月に実施した調査(1年以内にネットショップで購入した10〜80代の2,455人)も見てみます。
物販サイトでよく利用する決済手段は、クレジットカード決済が過半数で、次いでPayPayが32.0%、楽天ペイが13.3%でした。
PayPayが3割を超えている点は、先ほどのステップ・アラウンドの調査(ID決済11%)と大きく違います。
調査の対象や聞き方が違うため、数字はそのまま比べられません。
どちらの調査も、「ID決済は、一定の層に確実に使われている」と読めます。
さらに、この調査では、希望する決済手段がないとき、「そのECサイトでは購入しない」と答えた人が、男女とも約6割いました。
そのうち4割以上は、ほかのネットショップや実店舗で購入していました。
使いたい決済手段がないことは、そのまま売上の取りこぼしにつながる、ということです。
主な決済方法の種類と特徴
| 決済方法 | 特徴 | 導入時に見ておきたい点 |
|---|---|---|
| クレジットカード | 最も利用される決済方法。ほぼ必須 | 3Dセキュアなど、不正利用への対策が必要 |
| コンビニ決済 | カードを使いたくない人向け。現金で支払える | 入金までのタイムラグがあり、未入金のまま終わる注文も出る |
| 代金引換 | 商品の受け取り時に支払う。後払いに近い安心感がある | 配送会社への手数料がかかる。受け取り拒否のリスクがある |
| 後払い | 商品を受け取ったあとに支払う。カード情報や個人情報を入力しにくいお客様向け | 審査があり、契約条件は決済会社ごとに違う |
| Amazon Pay・PayPayなどのID決済 | 登録済みの情報で支払えて、入力の手間が少ない | 手数料率とカートシステムの対応状況を確認する |
| 銀行振込 | 導入のハードルが低い | 入金の確認に手間がかかり、支払いの手間から離脱しやすい |
クレジットカード
ネットショップの決済の中心で、導入しないという選択肢は、現実的にはほぼありません。
導入するときは、後述する3Dセキュア(本人認証)への対応を確認してください。
コンビニ決済
クレジットカードを使いたくない方や、持っていない方向けの選択肢です。
一般的に、入金が確認できてから商品を発送するため、注文から発送までに時間がかかります。
支払われないまま終わる注文が出る点も、運営側は織り込んでおく必要があります。
代金引換
商品の受け取り時に支払う方法で、「届いてから払える」という安心感があります。
一方で、配送会社に支払う手数料がかかり、受け取りを拒否されるリスクもあります。
利用が少なくなっていても、年齢層や商材によっては、まだ必要とされることがあります。
後払い
商品を受け取ってから、請求書などで支払う方法です。
初めて利用するショップでカード情報を入力することに抵抗があるお客様にも、選ばれやすい決済手段です。
未回収になったときのリスクを、決済会社が負うサービスもありますが、条件は会社ごとに異なります。
手数料率や審査の方針も、サービスによって違うため、契約前に確認してください。
Amazon Pay・PayPayなどのID決済
すでに持っているアカウントの情報で支払えるため、住所やカード情報を入力する手間が減ります。
入力の手間が減ることは、フォームでの離脱を減らすことにつながります。
手数料は、たとえばAmazon Payは、商品の販売で3.9%です(2026年10月時点の公式の記載です。Amazon Payの判断により、変更される場合があります)。
初期費用と月額費用は無料です。
銀行振込
導入しやすい反面、お客様が自分で銀行に振り込む手間があり、入金の確認も必要です。
そのため、主な決済手段というより、補助的な選択肢として位置づけるのが現実的です。
決済手数料の目安
決済手数料は、決済サービスごとに違います。
たとえば、Stripeの標準料金では、国内のカード決済は3.6%で、コンビニ決済は3.6%(最低手数料120円)、PayPayは3.98%、銀行振込は1.5%です(2026年10月時点)。
Stripeは、初期費用と月額費用がかかりません。
ただし、これは一例です。
決済代行会社や、カートシステムの標準の決済サービスによって、料金体系は大きく違います。
また、後払いなど、手数料率が公開されていないサービスもあります。
導入を検討するときは、手数料率だけでなく、初期費用、月額費用、入金のサイクル、振込手数料まで含めた総コストで比べてください。
どの決済方法を入れるか|選び方の考え方
正解は、扱う商材とお客様によって変わります。
ただ、ここまでの調査から、優先順位の付け方は整理できます。
- クレジットカード(必須):どの調査でも中心で、これがないと、購入まで進めないお客様が多くなります
- ID決済を、自社のお客様に合わせて1〜2つ:PayPayや楽天ペイは、2025年の調査でも一定の割合で使われています。Amazon Payは、すでに持っているアカウントで支払えるため、入力の手間が減ります。お客様の使っているサービスに合わせて選びます
- カード以外の手段を、1つ:コンビニ決済、後払い、代金引換のいずれかです。利用割合は大きくありませんが、カードを使わない・使えないお客様の受け皿になります。商材や客層、運用の手間に合わせて選びます
- それ以外は、取りこぼしを確認してから:決済手段を増やすと管理の手間も増えるため、必要になってから追加します
今の最低限は、この4つ
以前のネットショップは、クレジットカード、代金引換、銀行振込の3つがあれば、ひととおり対応できました。
今は、お客様の支払い方法が変わり、同じ3つだけでは取りこぼしが出ます。
今、最低限そろえておきたいのは、次の4つです。
- クレジットカード(3Dセキュア対応)
- PayPay
- Amazon Pay か 楽天ペイ(どちらか1つ)
- 後払い か コンビニ決済(どちらか1つ)
クレジットカードは、今も中心で、外せません。
そこに、PayPayなどのID決済が加わりました。調査によって幅はあるものの(11〜32%)、カード以外でいちばん多く名前が挙がっています。
Amazon Payと楽天ペイは、お客様が使い慣れているほうを選びます。
2025年の調査では、Amazonは男性、楽天市場は女性の利用が多い傾向でした。
男性が中心のショップはAmazon Pay、女性が中心のショップは楽天ペイを優先する、という選び方が目安になります。
ただし、これはモールの利用傾向で、決済手段としての利用率ではない点に注意してください。
後払いとコンビニ決済は、カードを使わないお客様の受け皿です。
運用の手間を抑えたいなら、サービスによっては入金の確認が要らない後払いが向いています。
代金引換と銀行振込は、どうするか
代金引換と銀行振込は、「最低限」から、「状況によって足すもの」に変わりました。
- 年配のお客様や、カードを持たない層が多い:代金引換を足す
- 高額商品や、法人向けの取引が中心:銀行振込を足す
注意したいケース
- 利益率の低い商材:決済手数料の負担が大きくなるため、ID決済は1つに絞る
- 少人数で運営している:コンビニ決済、代金引換、銀行振込は、入金確認や受け取り拒否への対応の手間が増える。後払いを優先する
このセットは、あくまで出発点です。
導入したあとは、注文データで決済方法別の件数を見て、使われていないものは外し、足りないものは足していきます。
自社のデータで判断する方法
すでにネットショップを運営している場合は、次の2つを見ると、判断しやすくなります。
- 注文データの決済方法別の件数:どの決済手段が、どのくらい使われているかを確認します。極端に少ない手段は、見直しの候補になります
- 決済方法の選択画面での離脱:GA4などで、決済方法を選ぶ画面で離脱が多い場合は、使いたい手段がない可能性があります
これから始める場合は、同じ商材を扱う競合のショップが、どの決済手段を導入しているかも参考になります。
決済方法が足りているかを確認する方法
決済方法に問題があるかどうかは、感覚ではなく、データで見ます。
目安になるのは、次のような状況です。
- カートに入れたあとの離脱(カゴ落ち)が多い、または増えている
- 決済方法の選択画面での離脱が多い
カゴ落ちの見方については、次の記事で詳しく紹介しています。

導入するときの注意点
① 3Dセキュアへの対応
クレジットカードの不正利用を防ぐため、「クレジットカード・セキュリティガイドライン」が改訂され、原則としてすべてのEC加盟店は、2025年3月末までにEMV 3-Dセキュア(本人認証)を導入することが求められています。
まだ対応していない場合は、決済代行会社に確認してください。
② カートシステムが対応しているか
使いたい決済手段が、使っているカートシステムで対応していないことがあります。
対応状況や、決済手数料は、カートシステムによっても違います。
カートシステムの特徴は、次の記事で比較しています。





③ 入金サイクルと運用の手間
決済手段によって、売上が入金されるタイミングが違います。
また、コンビニ決済や銀行振込は、入金の確認が必要で、運用の手間が増えます。
手数料だけでなく、運用の負担も含めて判断してください。
④ 増やしすぎない
決済手段を増やすと、お客様の選択肢は増えますが、運営側は、管理や問い合わせへの対応の手間が増えます。
取りこぼしが確認できてから、必要なものを1つずつ追加するのが、おすすめの進め方です。
運用していて感じること
決済方法は、「入れて終わり」ではなく、入れたあとにどう変わったかを見ることが大切です。
2021年にこの記事を書いた時点では、弊社が運用していたショップのうち、Amazon Payを導入した20社の運用実績で、カゴ落ちが14%強改善していました。
また、Amazon Payを導入した12件のうち、8件で、決済手段としての利用数が2位になっていました。
当時と今では、決済手段の利用状況も変わっているため、あくまで2021年時点の実績としてご覧ください。
まとめ
ネットショップの決済方法は、クレジットカードを中心に、コンビニ決済や後払い、ID決済などを、お客様と商材に合わせて組み合わせるのが基本です。
手数料だけでなく、入金のサイクルや運用の手間も含めて、自社に合うものを選んでください。
「今の決済方法で、取りこぼしが出ているのか知りたい」「カートシステムの乗り換えも含めて、決済まわりを見直したい」という場合は、お気軽にご相談ください。
GA4でのカゴ落ちの分析から、決済方法の選び方まで、一緒に進めます。

ECサイト制作
弊社では数多くの実績から御社に適切なショッピングカートシステムのセレクトからカスタマイズを含めたECサイトの構築、公開後の更新・アクセス解析運用まで売れるネットショップになるまで伴走します。
参考にした情報
- SBペイメントサービス「EC決済手段に関する調査」(2025年5〜6月実施、2025年7月公表、報道記事) https://netshop.impress.co.jp/node/14387
- ステップ・アラウンド「ネットショッピングの決済に関する調査」(2025年10月実施、2025年11月公表) https://netshop.impress.co.jp/node/15083
- 経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率」(2026年4月発表、報道記事) https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2099068.html
- クレジット取引セキュリティ対策協議会「クレジットカード・セキュリティガイドライン」改訂(2024年3月、報道記事) https://ecnomikata.com/ecnews/42307/
- Stripe 日本の料金 https://stripe.com/jp/pricing
- Amazon Pay ヘルプ「Amazon Pay手数料」 https://pay.amazon.co.jp/help/201212280
- エクスクリエ「ECモール利用調査」(2025年5月実施、2025年7月公表、報道記事) https://netshop.impress.co.jp/node/14440
- エクスクリエ「ECサイト利用率調査」(2025年9月実施、2025年11月公表、報道記事) https://webtan.impress.co.jp/n/2025/11/05/50331
